Apple Log 2 のカラーグレーディング:iPhone で仕上げる
開いた直後の Apple Log 2 は、Apple Log とほとんど同じに見えます。グレーで、フラットで、コントラストがない。違いは色にあり、間違った LUT を当てたときに崩れるのもまさにその部分です。
Apple Log 2 とは
Apple Log 2 は、Apple が iPhone 17 Pro とともに導入した Log 撮影フォーマットです。Apple Log と同じく、広いダイナミックレンジをフラットに見える映像に記録し、コントラストや色はグレーディングで決めます。
2 つのフォーマットには重要な違いが 1 つあります。
| Apple Log | Apple Log 2 | |
|---|---|---|
| 伝達カーブ(明るさのエンコード) | Apple Log カーブ | 同じ Apple Log カーブ |
| 色域(RGB 値がどの原色を指すか) | Rec.2020 | Apple Wide Gamut |
| 公式の変換 | Apple Log to Rec.709 LUT | Apple Log 2 to Rec.709 LUT |
カーブが同じなので、明るさとコントラストの振る舞いは同じです。色域が違うので、同じ RGB 値でも指す色が違います。
Apple Log の LUT を Apple Log 2 に当てると色がずれる理由
LUT は自分がどんな素材を扱っているかを知りません。Apple Log to Rec.709 の LUT は、入力が Apple Log カーブかつ Rec.2020 の原色であることを前提にしています。Apple Log 2 を入れると、前半の前提は成り立ちますが、後半は成り立ちません。
- 露出とコントラストは正しく見えます。グレーはグレーのまま、トーンカーブも正しいので、一見それらしく仕上がります。
- 色がずれます。Apple Wide Gamut の値が Rec.2020 として読まれるため、彩度と色相が合いません。植物、空、ネオン、肌など色の濃い部分で特に目立ちます。
だからこそ気づきにくいミスです。映像が明らかに壊れるわけではなく、色がカメラの見たものと違うだけ。購入・ダウンロードした「Apple Log 用 LUT」も同じで、その多くは以前の iPhone の Apple Log 素材向けに作られています。
正しい出発点
Apple は開発者サイトで、Apple Log 用とは別に公式の Apple Log 2 to Rec.709 LUT を公開しています。Apple Log 2 素材の技術的な変換にはこれを使います。Apple Log 向けのルックを使いたい場合は、まず Apple Log 2 の色を Apple Log(Rec.2020 原色)に変換してからルックを当てます。
顕影で Apple Log 2 をグレーディングする
顕影はこの 2 つのステップを自動で行うので、Apple Log 2 も Apple Log と同じ感覚で扱えます。
- 素材を開く。「新規プロジェクト」をタップし、写真から動画を選びます。変換されたコピーではなく元のファイルを読み込むので、10-bit の Log データがそのまま残ります。
- フォーマットを確認。Apple Log 2 はファイルのタグから認識され、映像上の情報バーに表示されます。タグが間違っている場合は、フォーマットをタップして手動で指定できます。
- 「ナチュラル」から始める。「ナチュラル」は Apple 公式の Apple Log 2 to Rec.709 LUT を使うので、Apple が意図した映像が出発点になります。
- ルックを選ぶか、自分の LUT を使う。公式のフィルムルックは Apple Log 2 でも使えます。入力を「Apple Log」にして読み込んだ LUT も使えます。アプリはカラー処理の最初で Apple Log 2 を等価な Apple Log に変換するので、Apple Log 用の LUT には想定どおりの色が届きます。
- ルックの下で調整する。露出、ホワイトバランス、コントラスト、ハイライト・シャドウ、カラーホイールはルックの前に、リニア光の中で段数単位で効きます。DaVinci Resolve で「LUT の下で調整する」のと同じです。カーブ、セカンダリ、質感はルックの後に続きます。
- 書き出す。HEVC 10-bit の SDR(Rec.709)または HDR(HLG)で書き出すか、好きな瞬間を Live Photos として保存できます。HDR 版は SDR の仕上がりに沿うので、グレーディングは一度だけです。

知っておきたい制限。Apple Wide Gamut は Rec.2020 より広い色域です。Apple Log 2 をアプリの作業空間に変換するとき、Rec.2020 を超えるごく一部の極端に鮮やかな色は境界に寄せられます。普段の映像でわかることはまずありません。「ナチュラル」自体は常に Apple の公式テーブルを使います。
よくある質問
Apple Log の LUT を Apple Log 2 素材にそのまま使えますか?
ほかのアプリでそのまま当てると色がずれます。顕影なら使えます。読み込むときに入力を「Apple Log」にすると、アプリが先に Apple Log 2 を変換します。
Apple Log 2 は Apple Log より明るい?暗い?
どちらでもありません。カーブが同じなので、適正露出の素材はどちらのフォーマットでも同じ明るさです。
Apple Log 2 のグレーディングにパソコンは必要?
必要ありません。顕影は iPhone・iPad 上で GPU によるリアルタイムプレビューでグレーディングでき(4K 素材も)、10-bit の動画をそのまま写真に書き出せます。